嬉しかった年賀状の話
もう2月になってしまいましたが、正月に印象深い年賀状をいただいておりました。
57歳で経営していた会社事業を売却した際に、社員の雇用をそのまま次の経営者に引き継ぐことになりました。
退職金などの面で不利にならないよう、退職金を払い、社員は一旦退職した形にしました。
新経営者は個人的に知っている人だったので、その後もときどき会社に顔を出しておりました。
その際に、自分が経営していた頃、20歳ぐらいで入社して勤めていた女性(Oさん)に会いましたので待遇などはどうか尋ねてみました。
そうすると驚いたことに、現在は元の半分ぐらいの給料だというのです。
Oさんは真面目でよく働き、決して自己主張や不満を言うことのない人でした。
新経営者が社員をこのように扱う人とは思いもしなかったので驚いたものです。
これは遠くない時期に会社は傾いてしまうだろうと思いましたのでときどき顔を出しては様子をみていました。
数年後、会社縮小の話があり、Oさんが整理対象と聞かされました。自分の経営時、私の奥さんは労務士や税理士との連絡接渉などを担当しておりましたので、事情を話して相談しました。
自力で仕事を探すのも大変だろうといろいろ調べてみますと、ハローワーク関連で、介護資格の講習を受けると数ヶ月間、手当てが支給され、それは生活するに困らない額でありました。
それで、Oさんに受講中も生活費が出るし、資格も持てること、介護分野は人手不足だから、おそらく健康でいる限り職に困ることはないことなど説明してあげました。
あとはきつい労働環境が予想されますので本人の考え次第と思っていました。
その後、本人も調べてみたのか、その講習を受けてみるということになりました。
資格が取れ、就職も決まったと聞かされ、私たち夫婦とOさんでお祝いの会食をしたものです。
その際に、感謝の意を口にされましたが、これ以後はいつまでも私たちに感謝や気遣うことは必要ないので体に気をつけて頑張ってくださいと告げて別れたのでした。
Oさんのような人に働いてもらったおかげで、いまのような老後の安心を手にすることができていることに感謝しながらの毎日です。
年賀状のやり取りだけは続いておりました。
コロナのことが気がかりでしたが今年いただいた年賀状には「楽しいです」と書かれておりました。
ずるい経営者に雇用されてしまうと、都合よく扱われてしまいそうな人でしたので心配でしたが、その真面目な姿が評価されて、職場ではしっかりと自分の立場を確立してのびのびと働かれているのでしょう。
奥さんと二人で良かったねと話をして、幸せな気持ちにさせてもらったのでした。
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by ksway | 2021-02-06 10:30 | 出来事